熊本市中央区島崎1-32-1
有資格者のチーム医療で共に“いきる”支援を
2026年に創設25年の節目を迎える『せんだメディカルクリニック』。特にリハビリテーションに
力を入れており、無床診療所としては県内最大級の有資格者数を誇る。「共に生きる 共に活きる」
をコンセプトに掲げる同クリニックのリハビリテーションについて聞いた。
予防医療、疾患医療
在宅医療の三本柱
熊本市中央区島崎に位置する『せんだメディカルクリニック』は、整形外科・内科・リハビリテーション科を中心とする在宅療養支援診療所だ。医師を筆頭に看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、健康運動指導士、放射線技師といった有資格者とメディカルクラークが連携してチーム医療に取り組んでいる。
内科は総合内科、専門外来(代謝内科)、在宅医療などを総合的に診療。整形外科では症状に応じて得意とする基幹病院へ紹介し、最適な医療環境を提供している。特長は、かかりつけ医・専門医・訪問看護ステーションによる在宅医療といった複数の役割を融合したサービスとしている点。「予防医療」、外来による「疾患治療」、そして「在宅医療」という大きな三本柱で患者のニーズに広く対応している。「予防医療」では疾患を防ぐ一次予防と、発症を未然に防ぐ二次予防〞をかかりつけ医〞として再定義し、特定健診・一般健診・運動器
検診・メディカルフィットネスの4つを提供する。
「疾患治療」としては、外来に特化した整形外科としての専門治療に加え、内科的治療も行う。さらに連携医療も活発で、4つの基幹病院、その他多数の専門病院とのつながりを持ち、年間100例以上の人工関節手術や脊椎手術を依頼している。加えて、MRI画像診断においては最先端の機器による専門的診断のために、熊本地域医療センターと連携。月間30例以上の検査を施行している。同クリニックの整形外科医と外部の放射線医が関わることで、より正確な診断を患者に提示している。外来の延長としてあるのが「在宅医療」。提携先の訪問看護ステーション・併設の居宅介護事業所・病診連携を活用し、看取りまでを行う。
ライフステージに応じた
オーダーメイドの医療
同クリニックが特に力を入れているのがリハビリテーション。有資格者が多く在籍しているのが特長で、理学療法士12名、作業療法士2名、健康運動指導士2名、呼吸療法認定士1名による脳血管・運動器・呼吸器を始め、スポーツ特化型リハビリテーションもカバー。さらに正看護師6名、保健師2名の常勤職による充分な看護体制も確保、より専門性の高いリハビリテーションを実施している。
こういった手厚いリハビリテーションの根本にあるのが、同クリニックがコンセプトとして掲げる「共に生きる 共に活きる」のメッセージだ。人生において、求められる医療は年齡や状況によって変化する。例えば乳幼児期は健やかに成長・発達すること、小児から青年期にかけてはスポーツなどの活動が健全にできること、成人では豊かな社会生活に加え女性の安心した妊娠出産と家族での育児、老年期では健やかに終末を迎えられることなど。どのステージにおいても患者に寄り添い、「活き活きと生きていく」手助けとなる医療を提供するのが同クリニックの考えだ。
特に開院から25年近く経過し、地域のかかりつけ医として、親子2世代、3世代で通う患者も少なくない。それぞれのライフステージに合わせた「オーダーメイドの医療」を提供し、「赤ちゃんからお年寄りまで家族でみる」ことを大切にしているという。この考えから、それぞれの年齡や症状に特化した外来を設置。きめ細やかなリハビリテーションに取り組んでいる。
具体的なアドバイスで好評
ウィメンズヘルスケア
ライフステージに合わせたリハビリテーション外来の一つに主に産前産後の女性を対象とした「ウィメンズヘルスケア」がある。月経、妊娠、出産、閉経など、生涯を通じて女性の体の変化は著しい。特に妊婦や出産直後の女性はホルモンバランスの乱れに加え、体の変化による尿もれ、乳児の世話を原因とした腰痛や膝痛、肩こりに悩まされがちだ。
そういった女性の悩みを受け、同クリニックでは近隣の産婦人科と連携した「ウィメンズヘルスケア」外来を開設。女性理学療法士が専門的な指導を行っている。普段の生活における動きや力の入れ方、腰や膝への負担が少ない赤ちゃんの抱っこの方法など、具体的なアドバイスも行う。加えて、デスクワークによる骨格の歪みやヒールシューズによる外反母趾といった、女性ならではの健康の悩みにも応じている。
専門性を活かした
成長発達ケアも
これまで受け皿の少なかった発達障がいの子どもを対象とした成長発達ケア(小児リハビリテーション)やパラスポーツ支援にも注力している。成長発達ケアは運動を通して子どもの成長・発達を促すもの。発達障がいや学習障害を持つ子どもたちの中には「うまく歩けない」「転びやすい」など、身体を上手にコントロールできないケースが見られる。そうした子どもたちに、ボール運動などの遊びを通した成功体験をもとに、楽しみながら日常生活に必要な動作を身に付ける手助けを行う。
小児向けの発達ケアを専門的に見る医療施設は少なく、特に中学生以降は療育の機会さえほとんどなくなるという現状を受け、支援の場を増やしたいという思いから2021年からスタートした。「療育センターに通えない」「医療面からのサポートを受けたい」といった保護者からの支持も厚いという。同時に障がい者スポーツへの支援も行っている。同クリニックの理学療法士が県立熊本はばたき高等支援学校へおもむき、定期的に障がい者スポーツ指導を実施。また、パラスポーツ指導者競技会員として2025年の国体にも帯同、パラアスリートの指導やケアに取り組んだ。さらに、今後パラスポーツが担う役割にも注目している。いわゆる〝お遊戯的〞な運動と異なり、精神的な負担が少ないパラスポーツは高齢者を始めとした幅広い年代のリハビリテーションにもつながる。地域住民に向けた障がい者スポーツ教室などを通し、普及啓発の構想もあるという。
年間800人を受け入れ
スポーツ特化のリハビリ
小学生から高校生にかけてのライフステージにおいては、「スポーツリハビリテーション」が重要な位置づけとなる。ケガをしたスポーツ選手がベストな治療を受け、早期に復帰できるよう受傷からスポーツへの復帰、再発防止といったアフターフォローまでのトータルサポートを実施している。
関わるのは理学療法士、作業療法士、健康運動指導士といったスポーツ医学のプロ。運動療法や物理療法に加え、トレーニングやフォーム、スキルチェックを組み合わせて早期の日常生活とスポーツ活動への復帰を支援。医師とも連携し、経過に合わせたリハビリテーションを行っている。きめ細やかなサポートが評価されており、年間800人の小・中・高の生徒を受け入れている。
医療から介護の流れを
シームレスに
更年期・壮年期から老年期にかけては、「社会の中で健やかに暮らし、人生の最後までその人らしく生活してほしい」といった意図からそれぞれの年代に特化したリハビリテーション外来を設置している。例えば壮年期では更年期障害の治療や活動性に応じたリハビリテーションを提供。また、高齢者に対しても通所リハビリテーションも含んだ支援を行っている。ただ、同クリニックが掲げるのは「医療と介護のシームレスな支援」。通所リハビリテーションと、医療におけるリハビリテーションとを別にせず、いわゆる「みなし指定のデイケア」としてリハビリ特化型デイケアとしている。つまり、高校生など一般患者のリハビリテーションと高齢者による介護保険によるデイケアを同時に行っている。〝お遊戯的〞なデイケアでないことから、医療から介護への継続性・連続性を実現することが目的だ。
また、日常の動きに対する作業療法士の支援も特筆したい。食事をする、身だしなみを整えるといった日常の作業ができるよう、肘や手、指のリハビリを担当する。さらに「転んで手を付いただけで手首に強い痛みが出た」といった橈骨遠位(とうこつえんいたん)骨折や指の骨折、指の腱の損傷などにハンドセラビーを施している。
専門スタッフが支える
多彩なリハビリ
専門性を結集した、それぞれの症状に応じたリハビリテーションも得意分野だ。例えば健康運動指導士による糖尿病、高血圧、高脂血症といった生活習慣病の運動療法がその一例。健康を維持・改善するために、医師と連携しながら安全かつ適切な運動プログラムを作成し、提案・指導。また、チーム医療によって、相談の幅が広いのも特長。メタボリックシンドロームであれば、フードマイスターの資格も持つ健康運動指導士がアドバイス。食生活を始め高脂血症予防にいたるまで、あらゆる相談に応じている。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎、気管支喘息、気管支拡張症といった呼吸器の病気を持つ患者に対し、専門の「呼吸療法認定士」によるリハビリテーションも実施。効率の良い呼吸法や体の動かし方を指導、息切れを軽くすることで日常生活や行動の拡大を目指している。
加えて、熊本県のフットケアの中核医療機関としての活動も盛んだ。認定看護師による足のケア(角質ケア・巻き爪などの矯正)、下肢の血行障害の治療にも対応している。足に合わない靴が原因とされる陥入爪・巻き爪では靴選びのアドバイスや同クリニック内でのインソール製作も実施。特にインソールは、足の障害を持つ患者のみならず、正しい歩き方を目指すスポーツ選手や一般患者に対しても「オーダーメイドインソール」の提供を行う。足の機能を解析、運動学やバイオメカニズムに基づいたインソールを製作する「入谷式足底板上級修了者」が在籍。患者の悩みに対応し、足の機能を保ち、正しい歩き方を実現するインソールを提案。痛みの軽減やパフォーマンスの向上に寄与している。
〝奇跡の復活〞を支えた
リハビリテーション
在宅医療を含んだ地域のかかりつけ医としての役割を果たしつつ、年齡に応じた多様なリハビリテーションなど患者のニーズに応える同クリニック。その評価は高く、同クリニック内の開放的なリハビリテーションセンターには、老若男女、多くの人が集まる。歩行訓練を行う高齢者やけがからの復帰を図る学生アスリート、時間によっては発達障がいを持つ子どもたちの姿も見られる。これも同クリニックが掲げる「ライフステージに合わせたオーダーメイドの医療」の現れだ。
その中でもひときわ目を引くのが、鍛えられた脚を持つ島田竜二さん。日本競輪選手会熊本支部所属のS級競輪選手だ。同クリニック創立の前から院長とは顔なじみで、「けがでも病気でも、まずは院長に聞くようにしています」と、島田さんの院長への信頼は厚い。そんな島田さんが、レース中の落車事故で首の頚椎椎体を骨折したのは2025年3月のこと。救急搬送された県外の病院から帰熊してまず訪ねたのが院長だった。島田さんの「手術ではなく温存療法を行いたい」といった要望と診断結果を踏まえ、同クリニックは治療に適した基幹病院を紹介。退院した後は、通院でのリハビリテーションを担当した。
首が動かせない中でのリハビリテーションやトレーニングを重ね、島田さんは同年9月に実戦復帰を果たした。復帰戦では思うような成果が得られなかったが、その後の成績は右肩上がりに。けがによる半年間のブランクがあったにもかかわらず、今季も競輪における最高ランクの「S級」を維持するという"奇跡の復活〞を遂げた。現在も同クリニックのリハビリテーションに毎日のように通う島田さん。けがからの回復を見守ってきた健康運動指導士の五瀬早洋子さんとともに身体のトレーニングを行っている。復帰を果たした現在は、身体づくりと筋力保持が最大の目的となり、それを踏まえた脚の上げ方や姿勢の保ち方といった具体的アドバイスを交えながらトレーニングに取り組む。「一般的なジムとは異なり、医療的視点も含めたアドバイスを行ってくれるので、安心感があります」。島田さんは五瀬さんへの信頼感をにじませる。
